マックのHDD交換

TimeMachineで延々と新規バックアップが始まり時間を持て余しているので、久々にブログを更新。

愛機MBP-17、CPUはCore Duo/2.16GHz。
2006年に購入しもうかれこれ丸5年になるが、いまだに何も不自由無い。さすがマック。
Windowsだとそこら中に訳の分からないファイルが増殖しまくり、落ちまくるんじゃないだろうか。
ただ、標準120GBのHDDがもう限界に達した。
自分のファイルを徹底的に整理し、さらには使わないアプリ、日英以外の言語ファイル、デフォで入っている不要なプリンタドライバなど、ありとあらゆるものを削除しても残3GB。ついにOSアップデートをする残容量がなくなってしまった。
先々週に昔の先輩と浦和レッズの試合を見に行ったときに相談したら「簡単だから自分でやってみたら」とアドバイスをいただいた。本当に実に簡単だった。

      • 必要なもの---

1. 新しいHDD
2. HDDケース(あとで古いHDDを外部ディスクとして使える)
3. T6ドライバ
4. 先の細いプラスドライバ
5. CarbonCopy Cloaner(クローン作成アプリ)

HDDはいろいろ調べた結果、音が静かで発熱が少ないらしい日立に決定。
HDD:日立HGST Travelstar 2.5inch/500GB/8MB/5400rpm 4,680円
ケース:玄人志向 2.5inch/SATA/USB2.0 1,235円
ドライバ:ANEX Hex T6 512円

アマゾンから到着したのがこちら

まずは日立HDDをケースに入れる。ただしクローン終了後はマックに組み込むので、仮入れだけ(ねじ止めしない)。
そしてマックに接続。

ここからバックアップ開始。
マックに接続すると表示されるメッセージがこちら。

ここで「初期化」を選択するとユーティリティが起動する。
ディスクに名前をつけてフォーマット開始、新品なのですぐに終了する。


次はあらかじめダウンロードしておいたCarbonCopy Cloanerを起動。
ワンクリックでクローンを作成してくれる、非常に便利!

データのクローン作業に3時間くらいかかった。
前準備はこれで完了。

次はいよいよHDD交換。
できれば静電気用リストバンドを付けて作業したいところだが持っていないので、水道の蛇口にタッチして放電を確認してから作業開始(気休め)。

まずは裏返して、小さなねじを片っ端から外す。バッテリーを外して、増設メモリ部分も忘れずに。
次は表向きに戻して、本体側面の右、左、背面、全部外す。
なくさないように注意して。

いよいよオープン。
タッチパッド下にあるスロットにドライバを差し入れてゆっくりと徐々に隙間を開けていく。
開いた状態がこちら。
実は、すでにこの状態で意図していないコネクタ(キーボード用)が抜けてしまっている。

それがこれ。

HDD周りはこんな感じ。
ここでT6ドライバが登場。
もともとのHDDは、今は東芝に事業ごと売却された富士通製であった。

旧HDDの周りについているスペーサー類を全部外し新HDDに乗せかえ、これまでの手順を逆にたどって作業完了。

再起動すると、これまでの作業環境が完全に移植された状態で立ち上がり、唯一の違いはディスクスペースだけ。
これであと数年はもつかな。
やはりマックはいいな。

ブログ書き込み終了!
しかしTime Machineはまだバックアップ中、、、

同窓会

故郷を離れて30年、初めて高校の同窓会に参加した。広島の高校である。
幹事をやっている友人がfacebookで自分の名前を見つけ、それで誘いを受け、今度が自分が起点になって音信のとれていない東京近郊の同窓生にネットワークを張ったというわけである。
猛暑の広島、おおきなホテルの宴会場を借り切っての同窓会。総勢5-600名はいたであろう。
オープニングは僕らと同じ代の卒業生でいまは京都を中心に音楽活動を続けている岡本君のギターソロ演奏で幕をあけた。曲はClose to you、続いてセサミストリートのデーマ。うん、なかなかいい選曲だ。

久々の旧友達との出会い、いくつかのパターンがある。
1.お互いがすぐに誰だかわかる
「おー、◯◯君だよね」
「そうそう、△△ちゃん?かわんないねー、元気だった?」
これが一番ハッピーなケース


2.相手は自分に気づいてるが、自分が相手の名前を思い出せない
「ね、◯◯君でしょ」
「うん、、、、君は、、」
「あ、わかんないんだ?』
(ここで昔のアーカイブモリーをフルに起動させ勝負をかけることになる)
「えーっと、△△ちゃんでしょ?」
「あたり!、元気だった?」
セーフ


3.自分も相手もお互いに思い出せない
これは寂しい事ではあるが、何も問題は起きない


4.相手は自分に気づいてるが、自分は相手の名前を聞いても思い出せない
「ね、◯◯君でしょ」
「うん、、、、君は、、」
「あ、わかんないんだ?』
(ここで昔のアーカイブモリーをフルに起動させても何も出て来ない)
「えーっと、ごめん、誰だっけ?」
「私よ、△△」
(誰だ?)
「あー、そうだったね』
思いっきり白々しいよな。これは、、、アウト

その後に2次会、3次会と流れ続け、久々に楽しい一夜でした。


同窓会の前に自分の人生が大きく変わる運命的な再会があった。
僕はこの夏のことを一生忘れない。

英語を公用語にする企業

ユニクロ楽天など、この不況の中で成長を続けている企業が相次いで「社内公用語を英語にする」と宣言している。また、パナソニックなど採用の半数を外国人にする等、日本企業のグローバル化が進んでいる。
これら企業の狙いは明らかで、脱ガラパゴスを目指して企業の更なる成長市場を海外シフトすること。先進国と呼ばれている日本の経済はもはや成長せず、高齢化が進み、というのは誰もが知っている事。
企業トップがいち早く海外進出を宣言し、実行に移すと言う点では、その是非はおいといて、わかりやすい。

これら企業に勤める従業員はどうなんだろうな。

頭に浮かぶのは、新春バラエティ「タモリさんまの英語禁止ゴルフ」。あれを見ていると解るのが、日本語の中には無数の英単語がすでに反乱しているという事実。つまり「英語を使ってはならない」と言われただけでコミュニケーションにすごい負荷がかかるというのは非常に興味深い。これら英語をすべて使っていいと言われたら楽になるか、というと、これが全然そうではない。英語としては通用しない英単語を徹底的に覚え直さなければならないのである。いくつか例を挙げてみよう。
ギヤ  Transmission
ハンドル Steering, Steering Wheel
フロントガラス  Windshield
ボンネット  Engine Hood
バック  Reverse
ラクション Horn
ウィンカー  Turn Signal
アクセル  Gas Pedal
バックミラー  Rearview Mirror
キーホルダー  Key Chain
ガソリンスタンド Gas Station
パンク Flat Tire
まだまだあるぞ。
いかがだろう、カタカナで書いた言葉は相手には通じない。
車関係だけでもうあなたの英語は全滅って感じじゃないだろうか。

日常生活でも
ハイビジョン HD(High Definition)
クレーム  Complain
チャック  Zipper
マンション Condo, Condominium
アンケート Survey
青信号  Green Light(青ではなくミドリ)
電子レンジ Microwave oven
バイキング Buffet(バフェと発音。バイキングは海賊のこと)
ベテラン  Expert(ベテランとはすでに退役した元軍人のこと)
その他、サラリーマンとかOLとか、「は?」という存在しない言葉である。

発音も違う。
McDonald マクダーナルド(マクを小さく、アクセントはダ)
Hot Dog  ハッダッ(アクセントはハ)
こんなのは有名なので皆さんご存知と思うが。
oasis オーエィシス
Fax  フャーックス(ファックスと普通に言うと、ファックと言ってるとゼッタイ間違われる)
virus ヴァイルス
Vitamin  ヴァイタミン
matrix メイトリックス
これはもうきりがない。発音が違うと100万回繰り返しても通じない。

概念も違う。
バツ三角のようなカテゴリー分けは解ってもらえない。Xはあくまでもエックスであり、ダメという意味はないので、プレゼンで◯X△を使ってダメ。
こういう場合は色分けがよい。◯は緑、三角は黄色、Xは赤。
ただしモノクロ印刷されると訳が分からなくなる。
オイデオイデをするときには手のひらを上に向けないと行けない。日本人がよく使う、手のひらを下に向けたおいでオイデオイデは「あっち行け」に見える。

気をつけておいた方がいいのが "Say again please"
相手の声が小さい、電話が聞き取りにくい時はこれでいい。
相手が何を言っているのか理解できないときにこれを使うと、まずい。相手は同じ会話を繰り返すがこっちは何を言っているのか解らないので、何度聞いたってわからないものはわからない。で、相手が切れる。
早口でわからないのであれば "Would you speak slowly for me please"(ゆっくり喋ってくれ)。意味が分からなければ "Would you rephrase for me please"(わからないので違う言い回しにしてくれ)。

日常会話だけでこれだけハードルが高いのに、仕事を英語化するっていうのはすごいことである。
私は一通り英語ができるが、ゼッタイに手を付けないのが「契約書」。契約書の英語を見た事がある方は解ると思うが、あれは英語ではない。アメリカにいた時の同僚ですら「This is not an English I know」という、専門用語と特殊な言い回しの塊である。ひとつ間違えば下手すれば儲けが吹っ飛んだり、相手に100%非がある訴訟で負けたりする。どうするんだろうな、と人ごとながら心配してしまう。

私の働く会社は外資が注入された日米合弁企業であるが、いまのところこのような英語化の兆しはない。
これからもないと思う。
うちの経営者は頭がいいので、こんなことしたら会社が即心肺停止状態に陥る事をよーくわかってらっしゃる。

3D TVについて

人の感性に訴えるものを活字や映像で伝えるのは難しい。グルメ番組でどんなに味を訴えても自分が美味しいと思うかどうかは食べて見ないとわからない。
最近よくTVで紹介されているのが3D TV。バラエティ司会者やゲストが専用メガネかけて「オーッ!」「凄いっ、飛び出してくるー!」てな感じでその良さを訴え、冷えた日本の経済消費を活気付けようとしている。
一眼レフの買い換えを検討してるのでビックカメラにカメラを見に行った。店頭にパナソニックソニーの3DTVが展示してあったのでどんなもんじゃいと試して見た。

はっきり言おう。
これはダメだ、思いっきりスベっている。
映像コンテンツがないとかそんなレベルの話ではない。コンセプトがダメダメである。

普通テレビは茶の間で家族で見るのを大前提に利用シーンを設定するのが自然であろう。
すると夕食の団欒がこうなるぜよ(絵がヘタですまん)。

みんなでメガネかけての夕食なんかあり得ないだろ。
全員がかけないとダメ、というのがポイントである。お父さんがかけてお母さんがかけなかったら、お母さんはにじんだ画面を見ることになる、というか見る訳がない。

ダメポイントその2
私はいつも寝っころがって肘付いてテレビを見る。顔とテレビは90度傾いている訳だ。
と言う訳で、3D TVに向かって顔を90度傾けてみた。そうすろとメガネの偏光角の関係で真っ黒、ほとんど何も見えない。

つまり3Dテレビは視聴者全員がメガネをかけて、顔をテレビにまっすぐ向けていい姿勢でみる必要がある。
つまり、いらない。

パットメセニー東京公演

前にパットを見たのはもう5年くらい前だろうか。バークリーのParamount Theatreで、そのときはPMGとしてラリー、リチャードボナといったいつものメンバー。
今回は「オーケストリオン」を引っさげての東京公演。同行メンバーなしの劇団ひとり公演である。
チケットが手に入らず諦めていたところ前日になって会社の友人より「行けなくなった。チケット譲るけどどう?」という夢のようなオファーをいただいた。もちろん行くに決まってる、松井さん感謝です!

錦糸町についてiPhoneのMapで会場名を入れるが、、、ない!何度入れてもない!どうしようと思いチケットを確認したが、何のことはない「トリフォニーホール」を「トリニティホール」と誤入力していただけだった。トリニティって、Matrixの黒サングラスのおばちゃんの名前じゃん。

ステージはほぼアルバムジャケットの再現。
開演前に機材をチェックしにステージ前まで見に行った。大きな絨毯の上に、後方には縦5m-横20mほどのラックが組まれ大きな布で中が見えないように隠されている。向かって右手にはヤマハDisklavier(自動演奏ピアノ、実際にはラックの裏にももう1台あることが後にわかる)、電源/信号ケーブルが複雑に絡まり100以上のアームが取り付けられた巨大なマリンバが左右にひとつずつ。管楽器の音を出す鉄パイプ状のロボットが8本、その左右にBoseのチューブ状のスピーカーが3本ずつ(パット用)。あと、通常よりも2回り位大きなアコギがスタンドに立てかけられ、そこからはコードが4,5本外に出て裏に繋がっている。絶対にこのギターには何か仕掛けがある。ステージフロア上には数十のペダルがそこら中に配置されている。
その後で準備が整って暇そうにしているPAのあんちゃんに話を聞きに行った。
「どう、準備OK?」
「ええ、今日はお客さん達の度肝を抜かれるようなことが起りますよ」
「言っちゃいけないんでしょ?」
「いえ、別にそんなことはないですよ」
とちょっとだけネタバレをしてくれたが、もちろん彼も多くは語らないし、こっちも聞かないでおいた方が楽しみが増すので早々に打ち切り。ただパットが日本に持ち込んできた機材の量は半端じゃなかったそうな。

定刻7時を10分ほど遅れて灯りが落とされ、会場が興奮のるつぼと化すのは間もなくの事。
(この先、曲名は伏せます)
ナイロン弦アコースティックを持ったパットが登場。スポットライトの当たる椅子に腰掛け、優しく弦をつま弾き始める。往年のヒット曲のアコースティックメドレー。
スチール弦に持ち替え2曲目。
3曲目で早くもピカソギター登場。となりの連中がうるさいのなんの「おー、何だあれ?」「どうなってんの?」「弦が何本あるんだよ?」けっ、話は終わってからにしてくれ。
ここでギターをエレキ(イバニーズのセミアコ)に持ち替え、Bluesyなリズムを刻み始める。しばらく弾いているが、実はここからがオーケストリオンの始まり。データ取り込みを終えた32小節がループし始め、その上にソロを乗せていく。後半になると、ひとつだけ外に出ていたハイハットのロボットが動き始めアフタービートを刻む。演奏終了。
ステージ全体が強いライトで照らされて暗幕が一気に取り払われ、5m x 20mのオーケストリオン全体が姿を現す。

すげえ、、
1m x 1mずつくらいに区切られたフレームの中に、バラバラのピースにされたドラムセットやパーカッション、ギター、ベースなどありとあらゆる楽器が独立して組み込まれ、全部にアームが付いている。左右両脇の大きな木のラックの中には水の入ったボトルが何十本も並べられている。それぞれの水の量を変え、空気を吹き込む事で弦楽器に近い音を一本一本が奏でる。
パットのキューでそのすべてに命が吹き込まれ一斉に演奏開始、20分に渡る「組曲:オーケストリオン」。
全部の楽器の1音1音がすべて完全にプリプログラムされていて、その上でいつもの恍惚状態のパットのギターが縦横無尽に飛び回る。
演奏終了。

MC
なぜこんなことを思いついたのか。それは自分が9歳のときに遡る。僕は音楽一家に育ったが、夏休みに爺ちゃんの家に遊びに行き、そこでピアノに出会った。懐中電灯をもって下に潜り込み、弦やアームの形状や取り付け方を隅から隅まで見て回り、ピアノという楽器の構造を理解した。本当に楽しい経験だった。
のちに自分はギターを始め、ジャズギタリストとしてプロの道を歩み始めたが、東京に来たときにヤマハDisklavierに出会った。なぜか東京中のホテルのロビーに置いてあるよね(笑)。
デビューした頃はシンクラヴィアで多重録音をしていた。
その後もずっとアイデアを温めていて、ついに21世紀のテクノロジーが自分の夢を叶えてくれることになった。
全部の楽器にはソレノイドがつけられていて、僕のインストラクションで動く。巨大なシンセサイザーのようなもの。
よく聞かれる質問が2つあるんだよね。
一つ目は「Are you crazy?(爆笑)」。これには答えたくないな
2つ目は「こりゃいったいどうなってるんだ?」
じゃあ、これからこのシステムがどのように構成されているか紹介しよう。

次の曲は即興(improvisation)
組曲:オーケストリオン」を聞いたときには、なんだやっぱりプリプログラムか、そりゃそうだよなーと思っていたが、今度はパットがステージを順に歩き回り始める。マリンバの前でギターを弾くとパットの弾く通りに演奏し始める。ガラス瓶ラックも同様、パーカッションも、ギターの音程にそれぞれが割り付けられていて、パットが順に命を吹き込んで廻る。32小節のループバックをオーバーダブしていくことで最後にはフルバンドの演奏が完成される。
とにかく数百のソレノイドが独立して動いているのに音のずれや遅れがないのには本当に感心する。何かの記事で読んだが、メカ制御やデータ転送などのシステム構築にはMITが協力しているとのこと、うなずける。

アンコールを3曲含め、延べ2時間半のコンサートであったが本当にアッという間に終わってしまった。終わった後はため息しかでない。非常にクオリティの高い演奏であった。コンサートというよりも、イリュージョンと表現した方がいいかもしれない。
言うまでもなくギタープレイヤーとして世界一であるが、上手いギタリストは他にもいる。今回改めて再認識したのは、パットはメロディメーカーとしてその才能が非常に卓越していると言う事。心地よいメロディがいつまでも頭の中でループバックしながら帰途についた。

今も驚くようなスピードで進化が加速しているパット。こんなこと誰にも出来ないだろうし、やろうと思っても真似できない。オリジナリティに溢れたアーティストである。
ジミヘン、オールマン兄、SRVなど、神の領域に入ったギタリストは死ぬ。ヴァンヘイレンも癌と戦っている。自分がここまで生きながらえているのはとりもなおさずギターが下手だからである。
パットにはこれからも心地よい音楽を紡ぎ続けてほしい。


Roger Nichols

ロックと呼ぶには抵抗があるが、今日はRodger Nichols。

Steely DanのAja, Gaucho、その他Stevie Wonder, JT, などのレコーディングを手がけたグラミー賞受賞者は同姓同名の別人。

私が音楽に目覚めたのは小学4年生のとき。誕生日に親にラジオを買ってもらったのがそのきっかけである。
下関はかろうじて米軍岩国基地FENの電波が届いた。毎週日曜の午後にKCケーサムDJのアメリカントップ40。英語なんかわかるはずもなく、ただラジオから流れてくるヒットソングに気づいたら夢中になっていた。
CCR「Have you ever seen the rain?(雨を見たかい)」、Chicago「Saturday in the Park」、ミシェルポルナレフシェリーに口づけ」、Carole King「It's too late」珠玉の名曲が毎週ラジオから流れてくる。
そんな輝く曲の中でも、最高のアーティストに巡り会ったのもこのころ。もちろん今でも大好きである。
それが Carpenters
(のちにCarpenterが「大工」という意味を知り、変なバンド名だと思った。そののちにこの姉妹の名字だとわかった)
「Top of the World」「Sing」「Yesterday once more」いずれもヒットチャートを駆け上がる。
実はカバー曲も多く、ビートルズの「Ticket to Ride(涙の乗車券)」レオンラッセルの「Superstar」マーベリッツ「Please Mr. Postman」などが有名である。
その後数年の間カーペンターズの曲を聴きまくった。高校になってバンドを始め(一応リードGね)Led ZeppelinBeckをやりながらもGoodbye to Loveの美しいメロディライン上のギンギンにひずんだギターソロをコピーした。
エンディングのコードは:C G/C C7/B♭ F Fm6 C/G D7 G7


前置きが長くなってしまったが、Nicholsの話はここから。
私の選ぶカーペンターズのベスト3曲は以下のようになる。選ぶ基準はメロディラインの美しさ。
Rainy days and Mondays(雨の日と月曜日は)
We've only just begun
I won't last a day without you
この3曲とも、Roger Nicholsの作曲。バートバカラックに並ぶ20世紀最高のメロディーメーカー 。
1968年に「Roger Nichols and Small Circle of Friends」でデビュー。作詞はPet Soundを手がけたTony Asher、編曲はNIck DeCaro、プロデュースはTommy Lipuma(!)。このゴージャスなサポートメンバー、Stephen Bishopのデビューアルバム並みだ。

大学生になり大学の裏にあったPied Piper House(かまやつひろしに遭遇したことがある)や中古屋など探しても、もちろん手に入る訳がない。
そんな名盤がおととし再飯された。
シュガーベイブなど数多くのアーティストに影響を与えた、音楽史に残る名盤。山下達郎もサンソンで何度か特集を組んでいる。ぜひシュガーベイブバージョンでの演奏も聴いてみたい。
のちに「渋谷系」としてブレークしたフリッパーズギターやラウンドテーブル等アーティストのルーツもこのアルバムだろう。

The Drifter: 一度聴けば心に残る名曲

フラッシュに対する見解

原文はこちら
http://www.apple.com/hotnews/thoughts-on-flash/

(敬称略)
フラッシュに対する見解
アップルはこれまでアドビと長いビジネスパートナーとしての関係を築いてきた。実際私たちはアドビの創立者とは彼らがガレージ企業であるころからのつきあいである。アップルはアドビのPSを採用した最初の大手企業であり、それを元にLaserWriterビジネスを立ち上げた。我々は協力し合いながらDTPの先駆者としての地位を築き上げ、両者の関係は良好であった。アップルが死の底から這い上がるような経験をしていたころ、アドビはアクロバットで企業向け市場を開拓した。今日でも我々は協業しながら、特にクリエイターと呼ばれる市場を支えている −マックユーザーはアドビCS市場の約半分を占める− だが、今後は両者が協業する意味はもうあまりない。

なぜアップルがフラッシュをiPhone, iPod, iPadに採用しないのか、その理由を簡単にここで述べておきたい。
アドビは我々アップルの今回の決定を主にビジネス的判断によるものと定義している ーアップルはAppStoreを守りたい、と− しかし我々は純粋に技術的視点より今回の判断を下した。アドビは「アップルのシステムは閉じている。フラッシュこそオープンである」 と主張し続けているが、真実は逆である。その理由を述べよう。

まず最初に「オープンとは」
フラッシュは100%アドビに支配されている。アドビ以外からは入手できない。しかもフラッシュの将来の拡張性、価格、その他すべての決定権はアドビだけが握っている。確かにフラッシュはどこでも入手できる。しかしそれは「オープン」を意味しない。なぜならすべてがアドビただ1社でコントロールされアドビからしか入手できないからである。これがフラッシュが「クローズド」であることを意味している。
アップルも数多くの「閉じた」商品を持っている。例えばiPhone OSは「閉じている」が、少なくともウェブに関連する標準は完全にオープンでなければならないと確信している。アップルはHTML5, CSS, JapaScriptを採用している −-これらはすべてオープンな技術標準である。アップルの携帯デバイスの高機能/低消費電力実現を支えているのはこれらのオープン技術である。新たなウェブ標準であるHTML5はアップル、グーグル、その他多くの企業に採用され、ウェブ開発者達は先進的なグラフィクス、タイポグラフィ、アニメーション、トランジション等を(フラッシュのような)第3者のプラグインを使う事なく実現している。HTML5は完全にオープンで、標準化委員会によって定義/管理されている。

さらにアップルはウェブに対しオープンな標準を定義している。例えばWebkit、この小さなオープンソースは我々が始めた。これは完全にオープンソースHTML5描画エンジンであり、サファリブラウザのコアである。Webkitは今や普及しつつある −Googleのアンドロイドブラウザ、Palm, Nokia, RIMのBlackberryなど。Webkit技術をオープンにすることによってアップルはモバイルブラウザの標準を定義した。

次、「フル、ウェブ」(モバイルウェブサイトに対してPC向けウェブサイトの意味)
アドビは「アップルの携帯端末はフルウェブにアクセスできない。なぜならば75%のウェブサイトにはフラッシュが埋め込まれているからだ」と主張しているが、ある点には言及を避けている。それは、これら殆どのビデオはもっと近代的なフォーマット −H.264でも表示可能で、実際にiPhone, iPod, iPadで再生可能であるという点である。ウェブビデオの約40%を占めると言われているYouTubeはもちろんアップルの携帯デバイスで閲覧可能であり、iPadはたぶんYouTube体験に最高の環境であると自負している。Fox News, ESPN, Time, NYT, WSJ, SI, ナショジオなど、iPhone, iPod, iPadユーザーがこれら企業の提供するコンテンツビデオを見る事ができないことはまずない。
アドビは、アップルのデバイスではフラッシュのゲームを遊べないと主張している、これは確かにその通りである。ただ幸運にもAppStoreには50,000本以上のゲームタイトルが並んでおり、その殆どは無料である。これからもiPhone, iPod, iPad用に世界中で数多くのゲームが投入される。

3番目、信頼性、セキュリティ、性能
シマンテック社によると、2009年にセキュリティ問題を起こした最悪のもののひとつにFlashがある。我々も、マックをクラッシュさせる最悪の原因がフラッシュに起因する事実を認識している。これまでアップルはアドビと問題解決に努めてきたが、すでにずるずると数年かかっている。アップルはiPhone, iPod, iPad上でフラッシュを動かす事により信頼性やセキュリティ問題を流出するような判断はできない。
加えて、フラッシュは携帯デバイス上ではうまく動作しない。これまでアップルはアドビに対し、フラッシュが携帯デバイス上で安定して動くようここ数年働きかけてきた。しかし残念ながらそれは実現していない。アドビは携帯電話用のフラッシュを2009年1Qにリリースすると発表したが、それが2009年後半になり、2010年前半になり、今や2010年後半になると発表している。いつの日にかそれは発表されるのだろうが、もう待つのはやめた。どのようなものなのか、それは誰にもわからない。

4番目、バッテリー時間
ビデオを再生する携帯端末のバッテリー時間を延ばすには、携帯デバイスはハードウェアでデコード処理を実行しなくてはならない。ソフトウェアプログラムでデコード処理を実行するとかなりバッテリーを消費する。近年殆どの携帯デバイスに採用されているチップはH.264デコーダーを内蔵している。ちなみにH.264はブルーレイDVDプレイヤーの標準技術であり、その他にもApple, Google (YouTube), Vimeo, Netflixなどの企業が採用している。
最近になってフラッシュはH.264をサポートするようになったが、現状世の中のウェブサイトに埋め込まれているフラッシュの殆どは古い世代のデコーダーを必要とし、そのデコーディングタスクは携帯デバイス内蔵のハードウェア(チップ)では処理できない。結果としてソフトウェアを走らせざるを得ない。例えばiPhoneでその差を比較すると、ハードで処理すればバッテリーは10時間もつがソフトウェア処理したビデオでは5時間ももたない。
H.264を使ってウェブサイトを書き直すときにはフラッシュを使えない。しかしこれらのビデオはAppleサファリやGoogleローム上で問題なく動く。もちろん言うまでもなくiPhone, iPod, iPadもである。

5番目、タッチ
フラッシュはPC上でマウスを使うことを前提に設計されている。たとえば多くのフラッシュサイトはマウスカーソルがある特定のターゲットにかざされるとメニューがポップアップする「ロールオーバー」技術を使っている。アップルのマルチタッチインターフェースはマウスもロールオーバーもそのコンセプトにない。開発者がFlashウェブサイトを書き直すのなら、なぜHTML5, CSS, JavaScriptなどを使わないんだい?
例えiPhone, iPod, iPad上でフラッシュを動かしたとしても、フラッシュそのものがマルチタッチを前提としていないので何も問題は解決されない。

6番目、もっとも大切な理由
フラッシュがクローズである事、致命的な技術的欠点がある事、タッチデバイスをサポートしていない事などをここまで述べてきたが、もっと重要な理由がある。
我々はウェブサイトでビデオ再生したり相互コミュニケーションする上でフラッシュを採用する事の問題点を述べてきたが、アドビはウェブ開発者たちがフラッシュを使った携帯デバイス用アプリケーション開発する事を望んでいる。
我々はプラットフォームと開発者の間に(えせ標準的な)サードパーティレイヤーを介在させることがどれだけプラットフォームの進化の邪魔をするのか、これまで痛いほど経験している。もしも開発者の成長がサードパーティ提供によるライブラリやツールに支配されたとしたら、我々がどんなにプラットフォームを進化させたとしても、(サードパーティレイヤーが介在する限り)開発者が恩恵を受けられるのはサードパーティが対応する部分に限定される。我々はサードパーティが介在し取捨選択仲介するようなことなく、我々アップルの進化のすべてを開発者にダイレクトに渡してあげたい。
サードパーティクロスプラットフォームの開発環境を提供することになると話はもっと悪い方に進む。対応するすべてのプラットフォームのバージョンアップの準備が整うまで、どの環境も更新しないかもしれない。つまり開発者はいつも全プラットフォーム共通的な(一番遅れた)部分にだけ向き合うことになる。我々はこのような開発者たちのイノベーションを遅らせるような状況を決して受け入れるわけにはいかない。
フラッシュはクロスプラットフォームな開発環境である。アドビのゴールは開発者たちにどんな環境でも動作するコードを書いてもらうことであり、最高のiPhone, iPod, iPadコードを書いてもらう事では決してない。その上、アドビのアップル環境に対する対応スピードはお話にならないほど遅い。アップルがマックOSXをリリースしてもう10年になるが、アドビがCocoaに完全対応したのはたった2週間前にリリースされたCS5からである。アドビはOSX対応という点からは世界でもっとも遅い会社である。

我々の主張は簡単である。
開発者達には常に世界で最も革新的な環境を提供し続けたい、誰も見た事のないような最高のアプリケーションを書いていただきたい。我々は今後もプラットフォームを進化させ続ける事を約束するので、皆さんには誰もが驚くようなパワフルな、楽しい、使いやすいアプリケーションを書いていただきたい。
みんなが勝者 − 皆さんの素晴らしいコードのおかげでアップルのハードウェアが売れ、開発者の皆さんはより多くのユーザーとふれあうことができ、ユーザーは数多くの最高の作品を手に入れる事ができる。

結論
フラッシュはPC時代のもの、PCとマウスを前提としている。アドビはフラッシュで成功した、だからフラッシュを押し進めたいのは理解できる。しかし携帯デバイスは低消費電力、タッチインターフェース、そしてオープンな標準− これらすべてにおいてフラッシュは劣っている。
アップルの携帯デバイスを通じての経験値より、フラッシュはもういらないと断言できる。AppStoreにある200,000本のアプリ、それを書いた数万人のコード開発者がそれを証明している、

オープンスタンダードがこれからの携帯デバイス市場を開拓していく(もちろんPC市場も)。アドビにはすばらしいHTML5環境でのツール開発を期待し、もう一言付け加えるなら(過去を忘れて)アップルを批判するのを控えてくれるよう望みたい。

ジョブス
2010年 4月